「石川県では、私立は1校しか受けられないんですよ」
他県から引っ越してきた保護者の方にこうお伝えすると、驚かれることがあります。
全国向けの受験記事には、「滑り止めを何校か」と書いてあることが多いです。でも、石川県ではその考え方がそのままは使えません。
この記事では、石川県で私立を1校選ぶときの考え方をまとめました。12月の出願登録の前に、親子で読んでもらえたらうれしいです。
石川県では、私立は「1校だけ」
私立の入試は、ほぼ同じ日にある
石川県の私立高校は、入試の日がほぼそろっています。同じ日に2校は受けられないので、私立は1校に絞るのが基本です。
令和9年度(2027年春)の募集要項で、2校の日程を確かめました。
| 学校 | 推薦入試 | 一般入試 |
|---|---|---|
| 金沢高校 | 1月9日(土) | 1月29日(金) |
| 遊学館高校 | 1月9日(土) | 1月29日(金) |
出典:金沢高等学校 入試情報、遊学館高等学校 入試出願について(2026年11月4日確認)
ほかの学校の日程は、その学校の募集要項で確かめておくと安心です。
推薦で落ちても、一般で受け直せる
推薦入試と一般入試は、別の日にあります。推薦で不合格になっても、一般入試で私立を受けることはできます。推薦とは別の私立を選ぶこともできます。
つまり「1校だけ」なのは、同じ日にある一般入試の話です。推薦で挑戦して、一般で押さえを受ける形もとれます。
県立と合わせて「私立1校+県立1校」が基本
県立高校の一般入試も、出願できるのは1人1校1学科です。学力検査は3月9日・10日、合格発表は3月17日です。
つまり受験の基本の形は、「私立1校+県立1校」です。私立の1校選びは、そのまま受験全体の形を決めることになります。

「専願」と「併願」、違いは手続きにも出る
言葉の意味をそろえておく
石川県でも、呼び方は全国と同じ「専願」「併願」です。
- 専願:その私立が第一志望。受かったら、その私立に入学する
- 併願:県立が第一志望。私立は「押さえ」として受ける
注意したいのは専願です。専願で私立に合格したら、県立高校は受けられません。「受かってから考える」ができない受け方です。
そのかわり、専願が有利になる学校もあります。金沢高校の進学コースでは、専願にすると加算点が付きます(英検準2級以上でも加算あり)。私立が本命なら、こうした仕組みも選ぶ材料になります。
金沢高校の例で見る、専願と併願の差
違いは、合否の判定や手続きにも出ます。金沢高校の要項を例に整理します。
| 専願 | 併願 | |
|---|---|---|
| 入学金60,000円 | 2月10日正午まで | 2月10日正午まで |
| 教育充実費30,000円 | 2月10日正午まで | 3月19日正午まで(延納) |
出典:金沢高等学校 令和9年度 生徒募集要項(2026年11月4日確認)
併願でも、入学金は2月10日までに払います。県立の合格発表(3月17日)より前です。延ばせるのは残りの3万円だけです。
「押さえ」にもお金と手続きがかかる、と知っておくと慌てません。延納のルールは学校ごとに違います。受ける学校の要項で確かめておきましょう。
推薦でも「併願」ができる学校がある
推薦入試は専願だけ、と思われがちです。でも、学校やコースによっては併願の推薦もあります。
たとえば金沢高校の学業推薦(Sコース・特進コース)には、専願と併願の両方があります。遊学館高校も、学業・人物推薦は「公立高校との併願可」としています。
推薦を考えているなら、どちらの形なのかを早めに確かめておきましょう。
「押さえ」の1校は、心の保険になるかで選ぶ
県立の本命が「勝負」のレベルかどうか
では、押さえの私立はどう選べばいいのでしょうか。
私が一番大事にしているのは、その1校が「心の保険」になるかどうかです。
県立の本命が、合格できるかどうか勝負のレベルの場合を考えます。少しリスクが高い挑戦です。このとき、「落ちても、ここなら通える」と思える私立があるかどうか。それで、本番の気持ちがずいぶん変わります。
「ここなら通える」と思えるかを確かめる
心の保険になるかは、偏差値だけでは決まりません。次のような点を、親子で一緒に見てみてください。
- 毎日の通学(時間・交通手段・冬の雪の日)
- コースや進路が、その子の目標に合っているか
- 部活や校風が合いそうか
- 本人が「ここなら行ってもいい」と言えるか
「友だちが行くから」と言う子もいます。それだけで決めずに、上の点も一緒に見ておくと安心です。

押さえが決まったあとが、いちばん危ない
「私立は大丈夫」が油断に変わる
ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
押さえの私立が決まると、子どもはほっとします。それ自体は悪いことではありません。
ただ、現場で見ていると、これが油断の原因になることがあります。まだ本命の県立に届く学力や学習量ではないのに、勉強の手がゆるむのです。
金沢高校の場合、一般入試の合格発表は2月5日です。県立の学力検査(3月9日)までは、およそ1か月あります。この1か月をどう過ごすかで、本命に届くかが変わってきます。
保険は「挑戦するため」に持つもの
心の保険は、安心して本命に挑戦するためのものです。勉強をゆるめるためのものではありません。
私立の合格が出たら、「ここからが県立の本番だね」と声をかけてあげてください。親の一言で、子どもの気持ちは切り替わりやすくなります。
12月の出願登録までに、親子で話しておく3つ
金沢高校の場合、出願登録は12月7日から始まります。締切は推薦が12月31日、一般が1月15日です。三者面談の前に、次の3つを家で話しておきましょう。
- 県立の本命はどこか。届かなかったら、どんな気持ちになりそうか
- 私立の1校はどこか。専願か、併願か
- 手続きとお金の日程(入学金の締切など)を、家族で共有したか
答えがすぐに出なくても大丈夫です。話し合っておくだけで、三者面談で先生の話が入りやすくなるはずです。
まとめ
- 石川県では、私立の入試はほぼ同じ日。私立は1校に絞るのが基本
- 推薦で落ちても、一般入試で別の私立を受け直せる
- 専願で受かったら、県立は受けられない
- 併願でも、入学金は県立の発表より前に払う(金沢高校の例)
- 押さえの1校は「心の保険になるか」で選ぶ
- 押さえが決まったあとの油断に気をつける
県立のWeb出願や志願者登録については、こちらの記事にまとめています。あわせて読んでみてください。


































